水に触れる「天白川・川辺の楽校」
水に触れる取り組み
名古屋市天白区が行っている取り組みの1つ、「天白・川辺の楽校」について紹介します。こちらは、天白区の象徴ともいえる天白川とその流域を中心に、自然環境の素晴らしさを伝え、状態の維持・保全に努める取り組みです。天白川に親しみながら、自然の豊かさや楽しさを次の世代に伝えることを目的としており、毎回多くの子どもたちが参加しています。川に住む生物の育成や生息調査をしながら目的を同じくする団体と交流し、住みよい生活環境を整えられる活動です。自然と触れながら子育てをしたい人は、ぜひ参加してみましょう。
天白川について
天白川は三ヶ峰付近に発し、名古屋市天白区などを流下して名古屋湾に流出する河川です。流域面積は119㎢で、下流の区間は二級河川に指定されています。市内の主要な河川の1つで、名古屋市南東部80㎢の地域が天白川流域に含まれます。
具体的な活動内容
近年開催された天白・川辺の楽校の活動内容を紹介します。平成29年8月には、天白小橋下流左岸で川遊びイベントが開催されました。10年以上続く恒例イベントとして、毎年大きな盛り上がりを見せています。この年は全部で58グループ、158人の参加者がいました。
同年の6月には、植田南小学校で「生き物観察学習」が行われました。総合的な学習の時間を支援する活動の一環として開催されたものです。産卵が近いオイカワやタモロコ、フナ、ナマズ、ドジョウなど様々な生物を観察し、捕獲した一部の魚は学校の大型水槽で飼育観察をすることになりました。活動中は泳いでしまう子どももいるなど、非常に盛り上がったようです。
同年の5月に開催したのが、「天白川の今を知ろう」と題した川辺の水質調査です。自然に触れながら、天白川の水環境や環境保全を学ぶ取り組みです。参加者はCOD・PH・透視度の3項目から水環境を測定しました。また、あらかじめ仕掛けをセットしておき、そこで捕獲したアカミミガメの生態についての説明も行われました。
それと同時期には、学校のプールを使用する前の清掃時間を利用した生物観察も開催しています。学校のプールは冬の間使用しないため、貴重な水辺空間として活用できます。夏になりプールが使用されるまでの限られた期間、厳しい環境でたくましく生きる生物がいることを、この活動を通して学べます。そこで人為的に捕獲したヤゴを飼育し、放流することは生態系を乱すリスクがあることについても、スタッフから説明されます。生命尊重の道徳的概念だけで生物を飼育するのは、生態系保存の観点からはリスクの高い行為であることを学べる貴重な機会です。